しばらく歩いていると、彼女が俺の方を見た。
「……あの、そっち濡れてません?」
「大丈夫」
「でも、傘こっちに寄ってますよ」
「気にしなくていいって」
「そうですか?」
それでも彼女は、気にしている。
自分が濡れないようにするより、俺が濡れていないかを気にするらしい。
変な子。
……いや。
優しい子なのかもしれない。
「莉央ちゃんって、あそこのショッピングモールとかいく?」
「〇〇講義終わりとかよく来ます」
「そっか」
「蓮くんは?」
「俺も同じ講義取ってるから」
「え、同じなんですか?」
「うん」
「じゃあ、また会うかもしれないですね!」
何気なく言った彼女の言葉に、少しだけ嬉しくなる。
「……そうだね」
もっと話していたい。
そう思った。

