『もう、好きじゃないことにした』

蓮side

――莉央と初めて会ったのは、三年前の雨の日だった。

大学を出ると、雨が降り始めていた。

傘をさして、歩き始めてふと公園をみると
ベンチがある屋根の下で、女の子が空を見上げていた。

困っているようには見えたけれど、慌てているわけでもない。

スマホで天気を確認して、雨雲の様子を見て、どうやって帰ろうか考えていそうな。

その表情が、妙に印象に残った。

ふわっとした雰囲気の、可愛い子だった。


大きな瞳に、柔らかそうな頬。

笑ったら、きっともっと可愛いんだろうな。

そんなことを思った。

見た目の雰囲気とは少し違って、なんとなくしっかりしてそうなのも気になった。

その姿を見て、
俺はなぜか声をかけた。

「傘、ないの?」

今思えば。

あの時、声をかけた理由なんてなかった。

ただ――。

もう少し、この子を見ていたい。

そんな気持ちが、どこかにあったのかもしれない。