『もう、好きじゃないことにした』

メッセージを送ろうとする。

『どこいる?』

入力して。
消す。

『今どこ?』
また消す。

メッセージよりも電話の方が早いと思い、急いで電話をかける。

……出ない。

「……莉央」

もう一度。

コール音が鳴る。

出ない。

蓮の顔から、少しずつ血の気が引いていく。

「……もしかして……また…?」

ぽつりと呟いた。

一度、莉央は自分の前からいなくなった。

何も言わずに離れて。

「もう好きじゃない」と言って。

それでも蓮は、ずっと探した。

やっと会えたと思った。

やっと、もう一度一緒にいられると思った。

それなのに。

「……また…いなくなっ…た?」

スマホを握る手が震えた。

蓮は急いで上着を羽織る。

そのとき。

玄関のドアが開いた。

「ただいま〜」

「…………」

莉央が立っていた。

手にはコンビニの袋。

「蓮? どうしたの?」

蓮は動かなかった。

ただ、莉央を見ている。

「……蓮?」

次の瞬間。

蓮が莉央のところまで歩いてきた。

そして。

 
ぎゅっ

「……え?」

思い切り抱きしめられる。

「ちょ、蓮……?」

「……よかった」

「え?」

「いた……」

莉央の肩に顔を埋める。

「……よかった」

声が少し震えていた。

「蓮……?」

「どこ行ってたの」

「コンビニ……」

「なんで言ってくれなかったの」

「起こしたら悪いかなって……」

「……」

蓮はさらに強く抱きしめる。

「起こしてよ」

「でも……」

「起こして」

「……うん」

「どこ行くか、言って」

「うん……」

「俺、起きたら莉央いなくて……」

そこで言葉が止まる。

莉央が背中を優しく撫でた。

「ごめんね」

「……怖かった」

小さな声だった。