『もう、好きじゃないことにした』

朝。

蓮が目を覚ましたのは、いつもより少し早い時間だった。

まだ眠い目をこすりながら、隣に手を伸ばす。

「……莉央?」

いつもなら、そこにいる。

けれど。

触れたシーツは、冷たかった。

「……あれ?」

蓮はゆっくり目を開けた。

隣に莉央がいない。

「莉央?」

寝室を見渡す。

いない。

「……トイレかな」

そう思って待つ。

一分。

二分。

三分。

戻ってこない。

蓮はベッドから起き上がった。

「莉央?」

リビング。

いない。

キッチン。

いない。

洗面所。

いない。

「……莉央?」

玄関を見る。

靴がない。

その瞬間。

胸が嫌な音を立てた。

「……え」

昨日まで、普通だった。

笑っていた。

「大好き」と言ってくれた。

何も変なことはなかった。

なのに。

靴がない。

スマホを手に取る。