孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする

「それに魔女の力だけど、それは魔法と考えないで能力だと思うのはどうかなあ?シアには動物たちと意志を通わせる能力がある。そして植物に干渉できる力があるし知識も豊富だ。例えば芸術家は絵や彫刻に関して能力がある。作家は物語を作ることに能力があり、スポーツマンはスポーツに能力がある。だから彼らは普通の人にはできないことができるんだ。有名な画家の絵なんかは色使いも構成もまるで魔法の様じゃないか。色の魔術師とか言われている人もいる」

そう言うとダルはシアをデッキの椅子に座らせて手を握りながら続けた。

「テレパシーも能力の一つだろう?ただシアは沢山能力があるだけだ、それを魔力と考えるから魔女になるんじゃないか?」

「能力?そう言えばリリーは気配を消せるんだけれどそれは魔力とは言わないわ。母もテレパシーは訓練次第で使える人は沢山いると言ってた」

「リリーの子供にだってシアの心配していることが起こる可能性もあるんだろう?シアはリリーにも結婚しないで子供も産ませないつもりなのか?」

シアはリリーの事は考えたことがなかった。

確かにホーク家の女性なら魔女を産む可能性がある。

魔女から魔女が生まれる可能性の方が高いがゼロではないのだ。

シアの母親も、できるのはホークアイとテレパシーだけだった。

「なんだか頭が混乱してきたわ。能力なのね。魔力じゃなくて…」

「そう思う事でシアの気持ちも違ってくるだろう?」

「俺とリリーとシアでシャドーに立ち向かおう。シアがそんな悲しい選択をしないで済むように…」

「ダルッ」

シアは頭が真っ白になった。

自分に禁じていた恋と家庭を持つ事を願ってもいいと言うダル。

シアはとめどなく流れる涙の訳も分からなかった。

ただ涙が止まらないのだ。

ダルは優しくシアの涙を親指で拭ってそっとキスをしてくれる。

「私ダルとの未来を考えてもいいの?諦めなくていいの?」

「うん、そうだ。勇気をもって前に進もう。俺がついてる。俺がシアを守るよ」

シアは嬉しくてまた泣いた。

ダルは中世の騎士のようだと思った。

シアももうシャドーから逃げたくはなかった。

ダルとの未来をシャドーに潰されるのはまっぴらだ。

ダルとならシャドーに立ち向かえる。

ダルはそんな勇気を戦う力をシアに与えてくれる。