孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする

ダルはロンバスを厩舎に入れて世話をしながら、今日のシアの話を思い返していた。

あんなに辛い経験をしながら優しい目ができるシアがすごいと思った。

その上迷い犬と身寄りのない女の子の里親になって楽しく暮らしていると言って笑っている。

優し過ぎるシアが心配だ。

両親をシャドーに殺されて傷ついて辛い思いをしているのに人の為に動けるシアを尊敬する。

その後もダルはシアのお店の休みの日によくトレッキングに出かけて絆を深めていった。

そして今日はダルの森の中の家に食事に招いたのだ。

夕食後に太陽が湖に沈む処をシアにぜひ見て貰いたかったのだが、今は六月の初めで日の入りは夜の九時ごろになる。

だからシアにはその旨伝えてぜひ湖に沈む日を見て欲しいので、夜遅くなることをあらかじめ伝えておいた。

出かける前にマギーは“誰とどこに行くの?どんな人?イケメンでも優しくて誠実な人でないと認めないからね“と煩く言っていたそうだ。

ダルが車で迎えに行った時には真っ先に出て来てダルに挨拶をしていた。

「君がマギー?シアからとっても優秀だと聞いてるよ。今日はシアを少し借りていくね」

とマギーに挨拶したので、マギーはダルの大人で超絶イケメン俳優みたいな容姿にすっかり舞い上がっていた。

「はい、シアの事どうぞよろしゅくお願いします」

としっかり噛んでいた。

「任せて、今日はロブもお留守番だね。マギーの事しっかり守るんだぞ」

そう言ってロブの頭をなでた。

今日は珍しく車で来たダルは、グレーの四駆のドイツ車に乗って来ていた。

マギーは「その車かっこいいですね」

と言いながら車を撫でまわしている。

マギーは車が大好きなようだ。

「私の愛車はあの赤い自転車です。キキって言うんです。シアが買ってくれたんですよ」

とてもうれしそうに”愛車のキキ”を見せてくれた。

真っ白な前かごも自分で着けたらしい。

そのかごの前に白く塗ったハート形のブリキに”キキ”と書いたものを取り付けてある。

マギーはシアが大好きだから、絶対にシアを泣かせないでねと、シアには聞こえないようにダルに言った。

ダルは”任せてシアを傷つけたりなんかしない”とマギーにサムズアップした。

そして今日は湖に沈む太陽をシアに見て貰いたいから、帰りが遅くなるとマギーに言っておいた。

マギーは”分かった”と言って、ダルにサムズアップした。

そして二人で笑いあった。

シアはマギーとロブの夕飯の支度をしてダルの車の方にやって来た。

「なに?二人で楽しそうね」

マギーはまたもシアにサムズアップしたので、ダルは思わず噴き出した。

シアはキョトンとしていたが、構わず車に乗せた。