孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする

シアはどこか遠くをあるいは遠い日々を眺めているようだった。

ダルは始めてシアと会った時に明るく笑うシアの瞳の奥に傷ついて怯えた色が見えたのを思い出した。

今のシアもそんな目をしている。

何か途方もなく大きな悲しみを背負って必死に生きている優しい女の瞳がそこにあった。

シアはそんな思いを振り切るように、

「そうだ、お腹がすいたら食べようとサンドイッチや焼き菓子を持ってきたんです。冷たいテイーもあるんですよ。湖を眺めながら食べませんか?」

「それはありがたい。朝食が遅かったから昼は食べてないんだ。嬉しいよ」

「よかったです。ロブやロンバスたちにも持ってきたんですが、ロンバスたちはこの辺の草を食べてますね」

「ロンバスたちは後で水を飲めるところに連れて行くよ」

ニ人はベンチでピクニックのようにシアの手作りのサンドイッチと焼き菓子を甘いテイーと一緒に楽しんだ。

ロブにはおやつのビスケットを食べさせた。

ダルはシアの手作りのサンドイッチも焼き菓子も"うまい、うまい”と言って食べてくれた。

シアはそんなダルの美味しそうに食べる姿を見ていて幸せを感じたのだった。

シアはダルにはまだ三度しか会っていないのにとても信用できる人だと感じた。

こういうシアの勘はよく当たる。

人を見て見誤る事はほとんどないのだ。

自分にとって害のある人や悪意のある人はすぐにわかる。