孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする

シアは次の休みの日にロブと自転車に乗ってホースセンターに行った。

ダルが言ってくれたように入会金は無料という破格の待遇で乗馬クラブの一員になれた。

そしてマイクがシアの乗馬のチェックをしてくれた。

所々立っているポールや柵を言われたとおりに早足でかけて行ったら、

「シアすごいね。姿勢も馬の操り方も手綱さばきも文句ないよ。外乗にいつ行っても大丈夫だよ。人馬一体ってシアとジェイジェイの事を言うんだね。とても息があっていた。ジェイジェイもとても楽しそうだ」

「本当に久しぶりに乗ったのよ。でもマイクの言う通り体が覚えていたみたい。ジェイジェイも優しい馬だったからよかった。乗りやすかったわ。ジェイジェイありがとう」

「まだ時間は充分あるからこの馬場でもう少し乗っていったら良いよ。ジェイジェイもまだ走りたそうにしているし…」

「わあ、ありがとうじゃあもう少し乗っていくね。ジェイジェイは障害も跳べる?」

馬によっては障害が苦手な馬もいるし飛べても高さは決まっているようだ。

「うん今馬場に出ている障害ならジェイジェイは大丈夫だよ」

シアはそう言うと颯爽と馬場に出て行ってジェイジェイを思いっきり走らせた。

そして一緒に障害を跳び越えて乗馬を楽しんだ。

外乗の許可が出たので、ダルがトレッキングに連れて行ってくれるのが待ち遠しい。

ダルとは住む世界が違う雲の上の人だけれど、シアはダルの海を思わせる青い瞳の優しい眼差しが忘れられなかった。

シアは男性に興味を持った事ももちろんつき合った事も無かった。

ダルが先日店に尋ねて来てくれてビューテイを想って涙を流した時に、その涙を優しく拭ってくれたその指先の温かさにドキドキしたのだ。

男性にふれられて胸の奥がぎゅっと締め付けられるような感じがした。

そんな風に感じるのは初めてで、自分でもどうしてなのかわからなかった。

でも嫌ではなかったのだ。