孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする

でもこうして二人で?一人と1匹でお散歩している時は、嬉しそうに吠えて飛び回って色々教えてくれるのだ。

もう少し先まで行ってみようとか、道路に穴が開いてるとか教えてくれる。

頼もしい道案内人だ。

今日はかなり頑張って遠くまで自転車に乗ってきた。

家の前の道を駅方向とは反対の森の方に少し行ったところに右に曲がる道路が続いている。

この辺は脇道が多いのだが車が十分通れるほど広い道だった。

ロブに連れられるまま気持ちのいい風と暖かい日差しを感じながらシアはご機嫌に自転車を走らせていた。

お店は今日はお休みの日なので、思いっきりロブを走り回らせてやれる。

向こうの方に牧場が見えてきた。

このケイパック村の名物キャッスルホテルの尖塔が右の奥に見える。

シアも一度だけ泊ったことがある。

そのお城はこの辺の地主が…昔で言えば貴族の領主様だがその領主様のお城だったらしく今の持ち主が2~3年前にホテルに改装したらしい。

そして観光客が馬でトレッキングや乗馬が楽しめるようにホースセンターがあると聞いていた。

ポニーもいて小さな子供でも楽しめるらしい。

その奥には広大な牧場もあった。

シアは馬が大好きで馬もシアが大好きなのだ。

動物の中では馬に一番好かれる。

ずっと前まだ両親が生きていて妹と4人で仲良く幸せに暮らしていた時父親が営む畜産業の牧場にシアの馬がいたのだ。

芦毛の雌馬で優しい目をした気性も大人しく優しい子だった。

父がシアに仔馬の時に買ってきてくれたその馬が大好きだった。

シアはその子にビューテイと名付けて、ほとんど毎日ビューテイと駆けまわっていた。

馬を見たのはそのビューテイをやむ負えず牧場に置いてきて以来だ。

ビューテイにサヨナラも言えなかった。

ビューテイは仔馬の頃からシアが面倒を見ていた馬なので、何も言わずに去ってしまったシアを恨んでいるだろう。

捨てられた裏切られたと思っているに違いない。でも会いに行く事はできない。

両親に何があってもここに帰って来てはいけないと、別れ際に言われたからだ。

シアはいけないと思いつつも放牧されて優雅に走り回ったり草を食んでいる馬たちをうっとりと見つめていた。

競走馬なのだろう皆筋肉質で美しい肢体をしている。

すると馬達もシアに気付いたようでシアがいる柵の所に集まって来た

シアは嬉しくて柵の一番下に少し足を掛けて背伸びをして、皆の首筋を撫でたりたてがみを手で梳いたりしていた。

もっとなでろと鼻先を近づけて来る馬もいる。

シアは馬達と話しながら夢中になっていた。