15歳、恋と友情の境界線

1 いつも、待ってるのは私

六時間目が終わった。

「起立、礼」

先生の声に合わせて、みんなが一斉に立ち上がる。

やっと終わった。

私は机の上を片付けると、友達のいる教室へ向かった。

私のクラスはもう終礼が終わっている。

友達のクラスはまだ終わっていない。

だから私は、いつも少し待つ。

別に、それが嫌なわけじゃない。

一緒に帰りたいから。

ただ、それだけ。

友達の教室の近くで待っていると、話せそうな子がいた。

「ねえ、今日さ――」

他愛もない話をして、笑う。

そうしているうちに、友達のクラスから先生の声が聞こえてきた。

終わったんだ。

私は話していた子に「じゃあね」と言って、友達のところへ向かった。

すると、友達は私を見るなり、

「早くして! 行くよ!」

と言った。

「うん」

私は急いで荷物を持った。

……あれ。

なんだろう。

少しだけ、引っかかった。

私は、友達の終礼が終わるまで待っていた。

でも、友達からは、

「待った?」

も、

「ごめん」

もなかった。

もちろん、毎回そんなことを言ってほしいわけじゃない。

私だって、一緒に帰りたいから待っている。

だから、待つこと自体は嫌じゃない。

でも――。

「私、いつも待ってる側だな」

ふと、そんなことを思った。

次の日。

今度は私のクラスの終礼が長引いていた。

友達から連絡が来る。

『まだ?』

続けて、

『早くして』

私は慌てて片付けた。

「ごめん、今行く!」

急いで友達のところへ行くと、

「遅いよー」

と笑われた。

私も笑った。

「ごめんごめん」

いつものことだった。

……でも。

帰り道、昨日のことを思い出した。

私が待つときは、何も言われない。

私が遅れると、急かされる。

たったそれだけ。

本当に、たったそれだけのことなのに。

なんとなく、胸の奥に小さな違和感が残った。

「私、細かすぎるのかな」

そう思って、考えるのをやめた。

だって、その子のことは大切だから。

一緒にいる時間も楽しい。

笑うことだって、たくさんある。

だから、このくらいのことなら気にしなくていい。

そう思っていた。

――この頃の私は、まだ知らなかった。

友達との関係に感じ始めた小さな違和感が、これから少しずつ大きくなっていくことを。

そして。

そんな私の毎日に、学校とは別の場所で出会った男の子がいることも。

その人の名前は、湊(みなと)。

最初は、ただ話していて楽しい人だった。

一緒に帰ったり、くだらないInstagramの動画を見て笑ったり。

前みたいに、会うたびにものすごく緊張するわけでもない。

でも。

それでも、えーくんといる時間は嫌いじゃなかった。

むしろ――

もう少し、一緒にいたいと思ってしまう。

その気持ちが「好き」なのか。

それとも、ただ慣れただけなのか。

このときの私は、まだ分からなかった。