この女の言葉にかなり健が驚いて動揺しているのが分かった。


「那智さんが、凛の母親…」

健が言うと、この女は
片方の口角を少し上げ、何とも言えない笑みを浮かべ

「そう、凛は私が十六の時の子。」

その言葉に頭に一気に血が上り、大声で叫んでいた。

「私は貴女の子供なんかじゃない!

勝手に私を産んで、
勝手に自分の親に預けたっきり、滅多に来てくれなかった…
母親らしいことなんて何一つしてもらった覚えがない。

貴女は母親なんかじゃない。
私がこの世で一番嫌いな人間よ!」