初めての店

【初めての店】
 彼女と初めて入った店。
 後ろから店員が僕に声をかけた。
「あれ、髪切られました?」
「僕、初めてですけど」
「あ、失礼しました。ご注文はお決まりですか?」
 彼女の指が止まった。
 僕と親友は、後ろ姿がよく似ている。

【真相】
 店員が見間違えた相手は、僕の親友。
 彼女は以前にも、この店へ親友と来ていた。
 そのことを、僕は知らなかった。
 店員は何も知らない。
 ただ、見覚えのある客だと思って声をかけただけだった。