引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 廊下にあった彫像の陰でアレッシェラが足を止めると、後ろからルイサが肩の向こうを覗き込む。

 見れば、月明かりに照らされた人気のない廊下には一組の男女が立ち、まるで密会をするように体を寄せ合っているではないか。

「なっ……!」

 叫びそうなルイサの口に、慌てて指をあてた。

 出しかけた声を、ルイサは咄嗟に呑み込む。

 廊下に立っているのは、レナールと昼間も会ったテディス公爵夫人ではないか。魅惑的な体を、レナールの胸にすり寄せるようにしながら、その頬へと手を伸ばしている。

「ねえ――私では、レナール様のお相手には、そんなに役不足ですこと?」

 月の光の中で、露出した肩から輝く肌が見事だ。金色の光の中で、真珠色に輝き、胸までの曲線を鮮やかに夜の中に描き出している。

「少し年が離れていても、私は気にしませんわ。妻は年上のほうがうまくいくと言いますし、私愛した方には尽くすタイプですの」

 そっと触れる指先の動きは、その魅惑的なボディラインと相まってとても官能的だ。

「まあ! まあ――まあ」

 一度は閉じた口を、声を潜めながらパクパクとさせているルイサの仕草も、無理のないものだろう。

 正直、これで落ちない男はいないのではないかと思えるほど、彼女の笑みは蠱惑的だ。