引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 戻った館で、アレッシェラは考え込んでいた。

 あのあと、レナールは兄のモーリスと一緒に、様々な後始末を終えてから夕方近くに館へ帰ってきたようだった。馬車から降りる姿が遠くの二階から見えたものの、その背中は自分の住まいになっている別館へとすぐに歩いていき、夕食にも顔を見せなかった。

 窓の外は、完全に陽が落ち、窓から見える館の窓の半分には、柔らかな橙色の光が灯っている。

 結局あれからレナールとは顔を合わせる機会がなく、アレッシェラが博物館であったことを話したルイサも、館で待っている間に作っていたお菓子とお茶を今テーブルに出しながら、困惑した顔をしている。

「ダリオ殿下が、きちんと謝罪に来られたのは男として見直しました。でも、そういうことならば、これからはいかがいたしましょう」

 闇魔法の使い手の正体については、結局はっきりとはしなかった。だからこそ、これからの行動について悩んでいるのがわかる。

 今日の収穫だった毒を塗られた石を思い出しながら、アレッシェラは俯いたまま呟いた。

「そうだな……。犯人ならば、昔から、レナール様の相当近くにいるはずだが、今の状況では、まだ完全に断定はできないな」

「このまま終わらせるのは、レナール様にとってよくないことですわ。でも、レナール様はアレッシェラ様には、帰るようにとおっしゃいますし……」

 グラフォーレ伯の依頼は解決したいが、レナールの頑なさは鉄壁だ。しかも、今日の誤解で、ますますひどくなった。

 どう解決したらいいのかと、いつも優しげな側近が頬に手をあてながら戸惑っている。その横で、アレッシェラは椅子に座ったままフッと笑った。