引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「――そう、ですか……。何度も顔を合わせた男性が、たまたまあなたの縁談先に……」

 うんと、アレッシェラが眉を寄せた。先ほどまでの、説教の勢いが嘘のように沈痛な表情だ。

 なにか、今の言葉だと違う解釈をしたのではないだろうか。

「勘違いをしてくれるなよ? 本当にただの知り合いだからな」

「ええ――わかっています。あなたにとっては。ただ、あなたは誰もが目を奪われるぐらい美しい人ですし……」

(しまった! なにか違う風に捉えたようだ!)

「レナール様……」

 慌てて声をかけるが、寂しげに笑われる。

「俺はもう少し兄と後片付けがありますので、先に館に戻っていてください」

(まずい! ひょっとしたら、勝手に思いを寄せている者が、縁談先まで追いかけてきたと誤解したのかもしれない!)