「大丈夫、なんでもない。少し用事で呼び出されただけだったから」
「なんでもないはずがないでしょう!? 見た人の話だと、荒くれ者に近い服装だったとか。そんな者が、異国の令嬢のあなたにどんな用事があるというのです!? あなたの姿ならば、言葉巧みに連れ去ろうと狙ったのかもしれないのですよ」
(うん、かなり心配性だ……!)
きっと、幼い頃から家族の心配をずっとしてきたことも関係しているのだろう。でも、そんなふうに、アレッシェラのことも、心配して考えてくれるのが嬉しい。それに、遠回しだが、どうやらアレッシェラのことを美人だと思ってくれているようだ。
だから、はにかみながらレナールに笑いかけた。
「いやいや、本当にたいしたことではなかったんだ。ただ、昔に何度か顔を合わせた男性が、ここにいたので、私と話したかったみたいで」
縁談そのものをなかったことにするとダリオ殿下に話したあとなので、そう答えると、急にレナールの眉がぴくりと上がった。
「昔――何度か会った男性?」
「ああ、偶然ここにいたらしい。それで、私とひそかに話したいと」
そう答えた刹那、なぜかレナールの表情の動きが止まった。瞳の動きが停止し、ジッとアレッシェラを見つめてから、静かに目を下に落としていく。
「なんでもないはずがないでしょう!? 見た人の話だと、荒くれ者に近い服装だったとか。そんな者が、異国の令嬢のあなたにどんな用事があるというのです!? あなたの姿ならば、言葉巧みに連れ去ろうと狙ったのかもしれないのですよ」
(うん、かなり心配性だ……!)
きっと、幼い頃から家族の心配をずっとしてきたことも関係しているのだろう。でも、そんなふうに、アレッシェラのことも、心配して考えてくれるのが嬉しい。それに、遠回しだが、どうやらアレッシェラのことを美人だと思ってくれているようだ。
だから、はにかみながらレナールに笑いかけた。
「いやいや、本当にたいしたことではなかったんだ。ただ、昔に何度か顔を合わせた男性が、ここにいたので、私と話したかったみたいで」
縁談そのものをなかったことにするとダリオ殿下に話したあとなので、そう答えると、急にレナールの眉がぴくりと上がった。
「昔――何度か会った男性?」
「ああ、偶然ここにいたらしい。それで、私とひそかに話したいと」
そう答えた刹那、なぜかレナールの表情の動きが止まった。瞳の動きが停止し、ジッとアレッシェラを見つめてから、静かに目を下に落としていく。
