引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「だが、よくここに私が来ていることに気がついたな」

「あ……それは、偶然なのですが……。身を隠したシモンヌを追いかけて、こちらに来ておりましたら、先ほど博物館に入られるお姿をお見かけしまして……。それでなんとか、こっそりお話ができないかと思い、急いで、あとを追いかけてきたのです」

「なるほど」

 それならば、彼らがなぜここにいたのかがわかった。見ればダリオ殿下は、捜索から逃れる護符のペンダントを身につけている。道理で見つからなかったはずだと納得をした。おそらく博物館で感じた視線は、ここに連れてきた後ろの男のものだったのだろう。

「なかなかお一人にはなられなかったので、少々強引な方法を使わせてもらったのですが……」

「それは、先ほどの煙のことか?」

 尋ねると、ダリオ殿下が頷いている。

「グラフォーレのご子息なら、火事の可能性があれば、そちらの対応に行かれるだろうと思いまして……」

 完全に行き当たりばったりだ。だが、確かにここでなければ、もう一度会うのは難しかっただろう。なにしろ、ダリオ殿下は、帝国と神殿から逃げ回っている身、迂闊に辺境伯の館を訪ねてくるわけにはいかない。

 だから、納得して首をすくめた。

「ああ、それだけではなく、呼び出し方も大胆だったな――大聖女に剣を使うとは」