引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「レナール様がこちらにおいでになっていると伺いまして。私も興味のあったところなので、ぜひご一緒したいと思って来たのですわ」

「テディス公爵夫人、いくら子供が取りたがっていたとしても、あの石を渡すのは危険なのでおやめください」

 柔らかくレナールがたしなめると、少し唇を噛んでから、あらと片手を唇に添えている。

「ごめんなさい。初めての場所なので、うっかりしてしまいましたわ。取れないようにしてありましたのね」

 白々しい笑みだ。投石機は方向が変えられるようになっているが、どうしてそれがまっすぐにアレッシェラを狙っていたのか――。

(ふむ、恋敵ならば、これぐらいは覚悟をするべきか)

 石を渡したのが、テディス公爵夫人ならば、毒を塗ったのもそうかもしれない。だが、石に毒を塗るだけならば、ほかの者でもできる。

 ちらりと周囲に視線を流した。

(ほかにも誰かいるな――)