引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「アレシナ嬢!」

 あまりにも突然襲ってきたものに、無事だったレナールが急いで駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか!?」

 その顔は、こちらが驚くほど真っ青だ。咄嗟に肩に置いた両手が、細やかに震えている。

「ああ、私は大丈夫だ」

 そう微笑んで言えば、レナールが目に見えてホッとした表情になった。

「そうですか、よかった……」

 この一瞬に、どれだけ心配していたのだろう。笑うアレッシェラの顔を見て、目が泣きそうに緩んでいる。

「レナール様……」

 その眼差しがこちらの心にまで染みこんでくるようだ。

「よかったです。でも、いったいどこから飛んできて……」

 見れば、床に散ったガラスの間には、黒い石のようなものが転がっている。それをアレッシェラはひょいっと拾った。