引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 さりげなく掴んだアレッシェラは、レナールの手にさらに腕を絡める。

「ああ、頼む」

「ええっ!?」

 レナールがまた驚いた声をあげた隣で、そのままアレッシェラは腕を絡ませて歩き始める。体をレナールに寄せながら、後ろの様子を窺えば、感じた人影のいくつかが、動きを止めたようだ。

(さあ、どう出てくる?)

 犯人ならば、好都合だ。襲ってくるつもりなら、手間が省ける。そう考えていると、隣でレナールが、ひどく慌てて取られている腕を動かしているではないか。

「ち、ちょっと待ってください! 人前で、これは!」

「うん?」

 今までのアレッシェラの婚約者候補は、むしろ自分から腕を貸してエスコートしたがっていたから、デートとしてはそこまでおかしな行動ではないはずだ。とはいえ、あまりにも慌てた声に、足を止めて目を向けると、側でレナールは真っ赤になっているではないか。

(おや――)

 今までの冷静で、挑発的な態度はどこへ行ったのか。館内に聞こえてくる音楽の中で、顔中を真っ赤にして心の底から慌てている。

「あの、まだ俺と婚約したわけではないですし――!」

 振りほどこうとして、無理やり外さないのは、それをすればアレッシェラを傷つけると思っているからかもしれない。触れ合ったアレッシェラの腕に、どうしたらいいのかと迷うようにしながらも、レナールの顔はますます赤くなっていく。

(なんて、かわいい――)