「ダリオ殿下――どこに行った」
普段よく足を運ぶという社交場や劇場、よく女と通ったのだろうと察せられるほど知っていた有名なカフェなども捜したが、ダリオ殿下らしき姿は見つからない。
「まさか……私を恐れて、どこかへ身を隠したのか……?」
帝国の皇帝陛下直々に、諸国の崇敬を集める大聖女へ縁談を申し込んだ皇子が、ほかの女性との間に子供を作っていた――。当然、大スキャンダルだ。
皇帝陛下に知られれば、母子の命はもちろんのこと、ダリオ殿下にだって処罰はあるだろう。
逃げたくなる気持ちはわからないでもないが、それでは困る。
生まれてくる前とはいえ、子供に対する責任があるのだ。ましてや、その命を宿している母親に対してはどうするつもりなのか。
「普通ならば、シモンヌという女性だって、幸せに暮らしたかっただろうに……」
空を飛びながら、下にいる多くの親子連れに目を向ける。
(きっと、あんなふうに将来すごすことを夢見ていたはずだ――)
捜しながら、ふと、庭で遊んでいる親子に目を留めた。
都の外れにある庭で、母親が抱いているのは、まだ幼い赤子だ。近くでは、緑の芝生であひるを追いかけている幼い女の子がおり、側にいる男性と一緒に、その子たちを柔らかな笑みで見守っている。
家族ですごす時間の和やかな笑みは、今が幸せなことの証だろう。
その温かな様子を見つめ、ふとアレッシェラは、寂しい思いに囚われた。
「……私が、あんなふうにすごした最後は、いつだっただろうか……」
普段よく足を運ぶという社交場や劇場、よく女と通ったのだろうと察せられるほど知っていた有名なカフェなども捜したが、ダリオ殿下らしき姿は見つからない。
「まさか……私を恐れて、どこかへ身を隠したのか……?」
帝国の皇帝陛下直々に、諸国の崇敬を集める大聖女へ縁談を申し込んだ皇子が、ほかの女性との間に子供を作っていた――。当然、大スキャンダルだ。
皇帝陛下に知られれば、母子の命はもちろんのこと、ダリオ殿下にだって処罰はあるだろう。
逃げたくなる気持ちはわからないでもないが、それでは困る。
生まれてくる前とはいえ、子供に対する責任があるのだ。ましてや、その命を宿している母親に対してはどうするつもりなのか。
「普通ならば、シモンヌという女性だって、幸せに暮らしたかっただろうに……」
空を飛びながら、下にいる多くの親子連れに目を向ける。
(きっと、あんなふうに将来すごすことを夢見ていたはずだ――)
捜しながら、ふと、庭で遊んでいる親子に目を留めた。
都の外れにある庭で、母親が抱いているのは、まだ幼い赤子だ。近くでは、緑の芝生であひるを追いかけている幼い女の子がおり、側にいる男性と一緒に、その子たちを柔らかな笑みで見守っている。
家族ですごす時間の和やかな笑みは、今が幸せなことの証だろう。
その温かな様子を見つめ、ふとアレッシェラは、寂しい思いに囚われた。
「……私が、あんなふうにすごした最後は、いつだっただろうか……」
