「いや――神殿に、よく行くからかな。見たことのないデザインだったので」
どう答えたものか悩んでしまう。レナールを狙っている犯人をまだ見つけてはいないため、大聖女と名乗るわけにはいかないし、四六時中神殿の総本山にいるなどと言えるわけもない。
困りながら答えると、レナールの顔が、パッと輝いた。
「そうなのです。これは、父――いえ、今のグラフォーレ辺境伯が考え出したもので、加護石を聖水で取り囲んでいるのです。加護石の力は、使うたびに減ってしまいますが、この地はソ・レイジェラからは遠いので、神殿にもあまりたくさんはありません。代わりに聖水に浸すことで、その失った分の力をゆっくりと補充させることができるとわかったのです。これならば、大型の魔獣の戦いに対して、何度でも使えます!」
そう話す顔は、無邪気な喜びに満ちている。まるで小さい子が、父親を自慢しているかのように、すごく誇らしげだ。
「グラフォーレ辺境伯は、この地をよく守られているように感じていたが、本当に立派に務めを果たされていたのだな」
西の谷に近く、魔獣や魔物の跋扈する地で、人々を守って――。
(レナール様が、誇らしく思うのも当然だ)
直接口にしなくても、レナールが父親のことをどんな風に思っているのかよくわかる。
誇らしくて、大事で――。だから、今も勘当をしてもらっているのだろう。
その顔がかわいく思えて、つい見入ってしまった。すると、ハッと気がついたように、レナールがはしゃいでいたのを止める。
コホンと咳払いをした。
