引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実はスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「美しい街だな」

 両側には、赤茶色の壁の家々が並んでいる。屋根は黄色や緑の色とりどりで、街の彩りが鮮やかだ。

 家の手前には、小さいながらも生け垣が作られ、庭では花を植えている人も多いようだ。

「ありがとうございます。辺境ですが、みんな自分の家や街を大切にしているのです」

「よく庭に花が植えてあるようだが、なにか意味があるのか?」

「ああ、あれは薬草なのですよ。もし魔獣が襲ってきたときに、すぐに手当てができるように父が奨励していまして――」

「なるほど」

 そういえば、館に植えられていたのもカモミールだった。

 辺境だから、薬はできるだけ自給自足しているということなのだろう。

 納得して頷く。そんな会話をしながら、しばらく進むと、馬車はすぐにスピードを緩めた。