これで運命の相手だったら、戦いの結果次第で、いつかまたあの夢のように愛してもらえるかもしれない。ここからそうなるのも、今までの求婚者みたいに、ただ大聖女に忠実なだけよりも、ドキドキとして楽しいと思いながら、向かいに乗ってきたレナールに笑顔を向けた。
「手間をかけさせて、申し訳ない。面倒かもしれないが、異国生まれの私に、父親の領地を自慢するぐらいの気持ちで、案内してくれたらかまわないので」
向かいに座ったレナールにそう言えば、意表を突かれたのだろう。接待用の顔だったのが、急に苦笑に変わった。そして、一つ息をつき、アレッシェラを見つめる。
「わかりました。では、グラフォーレ領の叡智の詰まったところへご案内いたしますよ」
どこへとも言わないことに、挑発的なものを感じる。今日は昨夜のようにはいかないということなのだろう。
「それは、楽しみだ」
だから、そう答えると、外から馬車の扉が閉められ、車輪が石で舗装された道を走り出した。
