引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実はスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 次の日、玄関へと出てきたアレッシェラはパチパチと目を瞬いた。

 館の前には、緑色に塗られた馬車が停まり、その側では竜胆色の上着に手袋を身につけたレナールが立っているではないか。

(まさか、律儀に待っていたとは――)

 かなり強引に押しつけた約束だったから、嫌がって逃げられても仕方がないと思っていた。

 もし逃げたら、モーリスが把握している行き先を、軒並み捜して押しかけるつもりだったのだが、まさかきちんと待っているとは――。

(本当に真面目な性格なのだな!)

 これはこれでよいものだ。全部の縁談を拒むほどの律儀さが、この様子からも窺える。

 だから、玄関から出てきたアレッシェラに気がついたレナールへ、にっこりと笑いかけた。

「待たせてしまったか?」

「いえ、待ってはいません。もし出てこられたら、ご案内が約束なのでいただけです」

「ほおおお」

(実にいい性格をしている!)