引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実はスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 その夜、アレッシェラはグラフォーレ家の屋敷に用意された一室で、考えこむように若草色のソファに座っていた。

 あれから館に通され、応接室でお茶を用意されても、レナールは顔を出さなかった。

 滞在用の客間に通された今もそのことが気になっているのか、目の前では、ルイサが困ったように水差しを抱えている。

「明日から、いかがいたしましょうか。レナール様には、突然断られましたし」

 頬に手をあてながら話すルイサの声に、アレッシェラは目を上げた。

「レナール様の反応は聞いていたとおりで、予想の範囲内だ。問題はない」

「予言した闇魔法の使い手を捜さなければなりませんが……。今日お会いしたレナール様の頑なさだと、側に近寄るのも難しそうですよ」

「そうだろうな」

 フッと微笑む。

「だが、それであっさりと帰っては、このソ・レイジェラの大聖女が出てきた意味がないではないか」

「それは、そうですが……」

「それに――今まで会った相手にはない感覚が気になるのだ」

「え?」