引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実はスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「ダリオ殿下といえば、先日皇帝陛下が私に、直々に縁談を申し込んできた皇子ではないか。それなのに隠し子とは、どういうことだ!?」

「詳しくはわかりません。ただ、縁談相手が女性関係の多いダリオ殿下ということで、念のため神殿で身辺調査をさせていたのです。その中で、ダリオ殿下が以前交際していたシモンヌという女性が、街の医者を密かに訪ねていましたことがわかり、神殿で詳しく調査をさせましたら、どうもそれらしいと……」

「あの皇子……!」

 脳裏に思い出したダリオ殿下の甘い容貌に、思わず唇を噛み締めてしまう。女性の目を引くオレンジブラウンの髪に、魅力的な青い瞳の持ち主で、整った唇から紡がれる言葉は、女心をくすぐりそうだった。

 初対面の時の様子を思い出しながら部屋を飛び出ると、ルイサを引き連れて水晶のように澄んだ白い廊下を歩き出す。

「私と婚約できるのなら、すべての女性と別れる。過去を清算すると言っていたが、清算しては、大問題ではないか!」

「いかがいたしましょう?」

「とりあえず、ダリオ殿下は私の婚約者候補から除外だ! そのシモンヌという女性の居場所はわかっているのか!?」

「どうやら故郷に戻ったあと、すぐに身を隠したみたいです」

「では、至急シモンヌの故郷に神官をやって捜し、身の安全を図らせるように! それで肝心のダリオ殿下は!?」

「それが……昨日から、行方がしれないそうで……」

「あの皇子……」

 額に青筋が浮かんでくる。

「大聖女への不敬を隠すため、自分の子供の命が帝国から狙われるかもしれないという時に、まさかのんきにうろついているとは……!」

 神殿の白い柱が並ぶ部屋に入り、すぐに集まった神官たちに下知を飛ばす。

「すぐに帝国の皇帝陛下に連絡をして、婚約の断りと、シモンヌという女性に手出しをさせないように申し入れをしろ!」

「はいっ!」