引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実はスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~


「今のは……」

「ああ、この連珠には――神殿の加護が宿っている。それが魔獣を退けたのだろう」

 正しくは、大聖女の加護だが、どこに操っていた者がいるのかわからない今の状況では、そこまで言う必要はないだろう。

「母と俺を助けてくださって、ありがとうございます」

 あの時と同じ少し高めの澄んだ声だ。その声で礼をして、顔を上げた瞬間、レナールの瞳がアレッシェラを見つめた。夕方の空を思わせるような紫の瞳。青みがかった深い色に澄んでいて、それが黒が混じった銀髪の下で、とても優しく輝いている。年の頃は二十歳。あの時、アレッシェラを助けてくれた相手に間違いがない。

 相手もアレッシェラに気がついたのだろう。

「君は――ひょっとして、あの蝙蝠の時の……?」

 その瞬間、レナールの視線が、アレッシェラの瞳を捉えた。

 再度、不思議な感覚がアレッシェラの中を走り抜ける。