美しい庭だ。歩いている周囲にはピンクや紫の花が咲き誇り、遠くには愛らしい小さな白い花がいくつも咲いている。おそらくカモミールだろう。色とりどりに咲く花たちは、とても鮮やかだ。
「いろんな花々が植えてあるのだな」
「とても華やかですわ」
後ろからついてきているルイサも感嘆したように、咲き誇る花たちを見つめている。
「ありがとうございます。私が育てましたの」
「奥方様が?」
「ええ、昔から植物の世話をするのが好きなのです。子供たちも、小さい頃からよく一緒に世話をしてくれましたわ」
今でも、手が空いている時には、よく手伝ってくれますという言葉には、温かい家族の触れ合いを感じる。
「レナール様も、一緒に花のお手入れを?」
「ええ、あの子は、本当はとても優しい子ですの。昔から、領民たちにもとても愛されていて。それに泉の側にいる動物たちを、とてもかわいがっていますの。あの子が現れれば、いつもたくさんの動物たちが姿を見せます」
多くの木々が緑の葉を伸ばす庭の奥へと続く道を歩きながら、エディットは説明をしていく。
「だから、今回アレシナ様があの子を見初め、婚約を受けてくださって、とても嬉しいのです」
「――あ、ええ……」
正直、まだ夢に出てきた相手かどうか確かめてはいないから、本当に結婚するかはわからない。だが、とりあえずレナールの命を吸い取ろうとしている相手を見つけ出すまでは、そういうことにしておいたほうがいいだろう。
そう思って頷くと、その前でエディットは少しだけ俯きながら、困ったような顔をしている。
