引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実はスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~





「では、奥様。この庭の奥にあります泉などはいかがでしょうか」

 あとから来た四十代の半ばを越えたようなメイドが微笑む。結った黒い髪が美しく、耳たぶに黒いほくろのあるメイドだ。

「あら、ニコル。それはいい案ね! あの子が一番気に入っている場所だし――」

「ええ、そこならば、レナール様と仲の良い動物もたくさんご紹介できますよ」

「そうね、そこを選ぶなんて、さすが長年勤めてくれているだけあるわ」

 笑顔で両手を合わせたまま、ニコルの提案を明るく受け入れている。

 アレッシェラの真意が、あの予言者が隠れていないか探りたいということだと、後ろにいるルイサは気づいているのだろう。

「いいんですか、アレシナ様。すっかり誤解されていますよ?」

「まあ、仕方あるまい。本当に夢に出てきた運命の相手ならば、誤解でもなくなるのだから、かまわないだろう」

「あの、その話し方は……」

 ご令嬢らしくないですと囁くのに、「ああ」と頷く。

「奥方様、モーリス様。小さい頃から、人を束ねる話し方を学ばされたので、このような言葉遣いなのだが、失礼ではないだろうか」

「まさか! むしろ凜々しくてステキですわ!」

 そうエディットは気にしていないように答えると、そのまま、奥に通じる庭へと案内していく。