「これは、ひょっとして恋敵というものなのか?」
「い、いえまさか! あの女性が来られたのは、アレッ……いや、アレシナ様にお話をして帰ってきてからですし。それにレナールはこれまでの女性たち同様、まったくそういう気にはなれないようで!」
慌てたようにガレオが説明をしている。それにと、ひそっと声を下げて付け加えた。
「彼女は社交界では有名な遊び人らしいのです。おそらくレナールについても、本音では、珍しい噂を持っているので、遊び相手として、自分の恋愛遍歴に加えてみたくなったのでしょう」
「ほう――」
つまり、彼女にとっては、ハーレム要員の一人ということなのだろう。
それは、グラフォーレ辺境伯から見れば、とても息子に勧めたい相手ではないのに違いない。
なにしろ縁談相手の命を守るために、結婚を拒んでいる息子だ。同じ理由で、家族と書類上の縁さえ切っているのだから、どうせ恋をするのなら、問題を解決したのち、末永く幸せに暮らせるような相手を選んでほしいのに決まっている。
(とはいえ、その問題を解決するために飛びついた私の伴侶募集の噂も、碌なものではなかったが……)
とりあえず、アレッシェラとしては、ハーレムを作るつもりはない。運命の相手は、夢に出てきた一人だけ――と考えたところで、先ほど引っかかった言葉を思い出した。
