「よくも、そこまで自画自賛を……」
「違うぞ、単なる事実だ」
きょとんと明るく告げると、否定できないと思ったのだろう、相手はいきなり背を翻した。
「ど、どちらにせよ、あなたとの婚約なんてレナール様は嫌がるのに決まっていますわ!」
(まあ、今の時点で逃げ回っているからな……)
事実だから、腹を立てる気にもならない。走り去っていく女性の姿を目で追うと、ガレオが申し訳なさそうに頭を下げた。
「失礼をして、申し訳ありませんでした。彼女はこのザディッド王国のテディス公爵夫人なのですが、二日前からここに滞在をされておりまして」
「随分とレナール様を気に入っているようだな」
「数年前にご夫君を亡くされたそうで……。レナールが、若い頃のご夫君の姿によく似ているとおっしゃっているのですが……」
「なるほど」
二日前。その言葉に、ふむと首を傾げる。
