「そうです。弟が出かける先は大体わかっておりますので、すでに追跡隊を向かわせております!」
兄を含め家族のほうが必死だ。それになぜか、ひどく家出慣れしているような気配がする。
(それだけ何度も家出をしそうになったのか、それともされそうで、家族がふだんからレナールのことを見張っているのか)
どちらにせよ、これは本人とお近づきになるのが、なかなか大変そうだ。
そう思った時、不意に奥のほうから声がした。
「あら、その娘が帰れば、レナール様は、きっとすぐに戻ってこられると思いますわ」
誰だろう。アレッシェラが顔を向ければ、いつの間に現れたのか、家族の後ろからは、胸の大きさを見せつけるように引き締まった深紅のドレスを纏った女性が、こちらを挑発的に眺めているではないか。
「そんな魅惑的ではない娘――たとえあの予言がなかったとしても、レナール様は願い下げに決まっておりますもの」
「ほう……」
挑むような女性の眼差しに、アレッシェラの目がスッと細くなった。それに女性は傲慢とも思える表情で、アレッシェラを見下すように睨みつけた。
