「おそらく犯人は、その時の予言者の姿をしていたものだ。生命を吸い取る術は、その者と縁の繋がった全員に及ぶ。だから、手っ取り早くご令息の命を食らい尽くすために、そんな予言で伴侶ができず、家族とも縁を切らせるようにしたのだろう」
「そんな……」
ガレオが、言葉を失ったように固まっている。
「では……! 私たちが、あの子が出奔しないためにしたことが、逆にあの子の命を追い詰めることになってしまっていたと……?」
「それは、当時の対応としては正解だろう。ご令息を家出から連れ帰れたし、書類上だけでも縁を切ることで、ほかの者の寿命が削られて死に、我が子を終生罪悪感で苦しめることが防げたのだ。ただ、このままでは、いつかご令息の命はすべて吸い尽くされてしまう」
「なんとか……! どうにかして、息子を助ける術はないでしょうか!?」
真っ青になった辺境伯が身を乗り出して迫ってくる。
それに、アレッシェラはニヤリと笑った。
「相手が闇魔法を使っているのならば、この大聖女アレッシェラの出番だ。まずは行って調べ、ご令息にかかっている術を必ずや解いてみせよう」
「あ、ありがとうございます!」
(それに――)
ガレオの礼を聞きながら、先ほどレナールに会った時の感覚を思い出す。
ひどく懐かしい感じがした。
(あれがなんだったのか――。彼が、夢に出てくる私の運命の相手なのか、それを確かめなくてはなるまい!)
握り拳を作り、立ち上がる。
さらりと薄い金色の髪を翻して立ったアレッシェラの姿に、辺境伯は涙を流しそうな顔をしている。息子に、命を吸い取る術がかけられていたことが、相当ショックだったのだろう。
大聖女の言葉に光明を見出して、頭を下げ続けるガレオを安心させるように、アレッシェラは力強く微笑んでみせた。
