引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 なにも覚えていなくても、なにも知らなくても、それだけは彼に伝えて、また側にいたかったのだ。

 だからと、アレッシェラはレナールを見つめた。

「私は、それを伝えたくて、あなたを忘れなかったんだと思う」

 口にすればレナールの青紫の目が見開かれる。

「たしかに私が捜していたのは、夢で見た運命の人だ。だが、心はあなたに会うたびに嬉しくてたまらなかった。あなたが運命の人かどうかわからなくても――」

 その言葉に、レナールの瞳は、アレッシェラの瞳に縫い留められたように見つめている。

「それに――」

 レナールの顔を見ながら、アレッシェラは静かに笑いかけた。

「本音を言えば、私は、まだあなたが本当に運命の人かわからない時から、あなただったらいいなと思っていたんだ」

「え……?」

 驚いたように、レナールの唇から声が漏れる。

「それは、どういう――」