引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「ま、待ってよ! まさか、お前――その神降ろしの術は……! まさか本物の大聖女!?」

「せっかく名乗ってやったんだ。地獄への土産として覚えておけ」

 そう言い終わると同時に、ジャミマス神が手を振り上げる。その手の先に浮かんでいるのは、凄まじい炎だ。それが同じ動作をしたアレッシェラの聖杖へと宿り、魔物の体を貫いていく。その瞬間、容赦なく業火が魔物を包んだ。

 さすが、炎を司る神だ。一瞬にして周囲の空間を白く埋め尽くすと、ニコルだった体が炎の中へと消えていく。

「ぎゃああああ!」

 凄まじい白炎だ。容赦のない聖なる力に消滅させられていく。

 あまりにも突然の事態に、魔物の手から放り出されたレナールは、床に投げられたまま呆然としていた。

 やがて炎が消えて、元の部屋の姿に戻ると、じゃらんとなった聖杖の音に気がついて、アレッシェラを見上げる。

「アレシナ……君は、まさか……」

「嘘を言って悪かった。アレッシェラ・アルセリア、それが私の本名だ」

「アレッシェラ・アルセリア――では、本当にソ・レイジェラ山の大聖女である……」

「ああ、そしてこちらは偽りではない。あなたの婚約者だ」

 話した言葉を信じられないように、目を開いて見つめている。