引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「貴様、万死に値する」

 およそ聖女とは思えない低い声で、目の前の魔物へ刑を告げる。

 その声に、ニコルだった魔物は、怪訝そうにアレッシェラを見た。

 彼女からすれば、アレッシェラは次に食べられることを宣告された哀れな獲物だ。

 だが、今目の前に立っている姿は、力強く微笑み、手に持っていた連珠をじゃらっと広げているではないか。

 一つ一つが宝石を切り出して作られた珠だ。梅の粒ほどもある連なりは、価値としては恐ろしいほどのものだろう。

 それを両手に持ち、アレッシェラは今まで隠していた聖なる力を通した。

「なっ!?」

 魔物の目が大きく見開かれる。

 その前で、アレッシェラは連珠を闇色の空間へと浮かべる。連なる珠が波打ち、まるで風に乗っているかの如く動く。

「貴様は、ここには誰も助けには来られないと言っていたな。それが真実か、貴様と私の力、どちらが上か試してみようではないか」

 言うや否や、珠にはアレッシェラの聖なる力が満ち、その表面を覆うようにして姿を変えていく。

 金色の光が珠を包み、真っ直ぐ一筋の黄金になったかと思うと、ジャランと凄まじい音がして、闇を弾きながら輝く目映い聖杖となった。

「なっ……その聖杖は!?」