引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「魔物について詳しくても、所詮は小娘ね。戦う力など碌にない――」

 そして、ほんの一飛びでレナールに近づくと、その首をぐいっと掴む。

「さあ、私にその眠っている力を命ごと差し出しなさい。そうすれば、その生意気な小娘は、あなたのあとで苦しまないように同じく食べてあげるから」

 指の下で、蛭のようなものがいくつも口を開けている。長い指がぐっとレナールの喉を絞め、手のひらの蛭を近づけさせようとしているのがわかった。

「あなたと一緒になれるのなら、早死にしてもかまわないと言った娘ですもの。私のお腹の中で、未来永劫幸せに暮らせるのなら本望でしょう?」

「ぐっ……アレ……、ナ……逃げ……て」

 必死で手を離し、側のアレッシェラを逃がそうと肩を押す。

「無理よ。この空間は私が支配しているの。どこにも逃げられないし、誰も助けには来られないわ」

 この状況に陥っても、まだ自分よりもアレッシェラの命を心配している。その前で、蛭の口がレナールの首に襲いかかろうとしている。そして、近づいた魔物の唇も、レナールに重なろうとしているではないか。おそらく唇からも命を吸い取るつもりなのだろう。

 目の前の光景に、一瞬でアレッシェラの頭の中が冷えた。