引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

「目的は、レナール様の魂に封じられている巨大な力。聖にも魔にもなるそれを食べれば、魔族だったら魔皇にもなれる。だから、長年じわじわと命ごと吸っていたのだろう!?」

 そう話せば、テディス公爵夫人が茶器を落とした。同時に素早く走り出す。

「なぜ気がついた?」

「下手な予言で、周囲の人間と縁を切らせたりするからだ! 命を吸い取る術は、その魂に縁の繋がる者がいれば、吸い取る術の対象が分散されて、食べ尽くすのに時間がかかる。だから、縁を切らせるためにした、そうだろう!」

 テディス公爵夫人の手が届くのよりも先に、アレッシェラが金髪に巻いていた長い連珠を引き抜き、相手に叩きつける。

 その瞬間、テディス公爵夫人の姿が裂けた。

 そこに現れたのは、黒い髪の四十路をかなりすぎた姿だ。

 長い髪を後ろで纏め、メイド服を纏いながら、陰惨な眼差しでこちらを見つめている。耳にあるほくろは、覚えのあるものだ。

「よく知っていましたね」

 先ほどまでは消していた魔族の気配も、今はまったく隠す気がない。

 空間に放たれる禍々しいまでの魔力に、闇がいっそう濃くなったような気がした。