引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 明らかに異様な光景だ。

 来るなと言ったのに、いつの間にか合い鍵まで用意していた公爵夫人の様子に、レナールが困惑した表情をしている。

 二人の間に入るように、アレッシェラが立った。

「あら?」

 その姿を見て、テディス公爵夫人が、少し首を傾げている。

「私が断られましたのは、先約がおありだったからなの?」

 話している顔は、いつもと変わらないのに、明らかに気配がおかしい。

「とはいえ、親が認めた婚約者でも、まだご結婚はされていないのですから、アレシナ嬢はお部屋に戻るべきではないのかしら」

「テディス公爵夫人? 一体……」

 にっと笑う夫人の様子は、明らかに不穏だ。だから、おかしな雰囲気に戸惑うレナールを守るように、アレッシェラがテディス公爵夫人を見つめた。

「ふん、やはりお前が犯人の化けた姿か」

「犯人?」

 一体なんのことだというように、側からレナールがこちらを見つめている。

「レナール様、あなたの予言は、半分は本当だが、真相は仕組まれたものだ」

「えっ!」

 今まで思いもしなかったのだろう。心の底から驚いた顔をしている。その前でアレッシェラはテディス公爵夫人と向かい合い続けた。