引き裂かれた恋人を捜す大聖女は生贄結婚をすることになりました! ~実は私がスパダリ大聖女といわれているのは、ご存知ないですよね?~

 突然、誰もいないはずのベランダから音がしたので、部屋にいたレナールがびっくりしている。

 視線を急いで窓にやると、開けたままだったカーテンから、アレッシェラがベランダの手すりに立っている姿に気がついて、慌てて駆け寄ってきた。

「危ない! なんでそんなところに……!」

 どうやら作戦は成功したみたいだ。下手な方法では、部屋には入れてもらえないと思ったので、手すりに立っていたのだが、このままではアレッシェラが落ちかねないと思ったのに違いない。

 急いで窓を開けて、レナールがこちらへ手を伸ばしてくる。

「なにかあったらどうするんですか!? ここは三階ですよ!?」

「レナール様と話がしたかったので」

 にっこりと笑いながら言うと、一瞬レナールの目が、月の光の中に立つアレッシェラの姿に留まった。

 アレッシェラの金色の髪が月光を弾き、柔らかく夜の風に流れている。

 白い光を受けながらまたたいた赤紫の瞳に、レナールの目が、まるで吸い寄せられたようにアレッシェラの顔に見入っている。

「ここではなんだから、とりあえず、部屋に入れてくれるか?」

 柔らかく微笑みながら尋ねると、動きを止めていたレナールの顔がハッとした。そして、辛そうに下を向く。

 一瞬目を隠したが、すぐにアレッシェラに手を伸ばすと、細い体をそっと支えてくれる。