最後くらい

【最後くらい】
 彼は自転車を押し、女の子と歩いてきた。
 転校する私はバス停で目を伏せた。
 今日は彼を待たずに来た。
 女の子が笑って先に行く。
 彼が困ったように笑う。
「最後くらい、一緒に帰りたかったのに」
 私は泣きそうになった。

【真相】
 彼と一緒にいたのは、彼女ではなく彼の妹。
 最後の日、私は彼を待たずに先にバス停へ来た。
 好きだと言えないまま、終わるつもりだった。
 でも彼も、最後くらい、私と帰りたかった。