――翌朝。
聖月学園。
朝の校門には、今日もたくさんの生徒が集まっていた。
「麗愛、おはよー!」
後ろから聞き慣れた声がして、振り返る。
「凛空、おはよ〜!」
蝶乃りあ。
麗愛、大切な友達。
今日も綺麗に髪を巻いていて、朝からすごく可愛い。
「昨日さ、彼氏から連絡きた?」
「んー……きたけど、たぶん今日の約束もなくなると思う(笑)」
「え、また?」
「うん。前も急に予定あるとか言われてキャンセルされたし」
凛空は慣れたように笑う。
でも、その笑顔を見ていると、れあは少し心配になる。
「凛空はその人のどこが好きなん?」
「……分かんない(笑)」
「え?」
「嫌なところいっぱいあるし、もうやめたほうがいいって自分でも思うんだけどさ」
凛空は少しだけ視線を落とした。
「離れようとすると、なんか無理なんだよね」
「……無理してない?」
「してるかも(笑)」
「もう……」
麗愛は小さくため息をつく。
恋って、漫画の中ではもっと簡単なのに。
好きな人と目が合って。
少しずつ距離が近くなって。
最後にはちゃんと想いが通じる。
麗愛はは、そんな恋がいい。
「恋って、そんな簡単にやめられないんだよね」
「……そっかぁ」
麗愛には、まだよく分からない。
でも――
凛空がいつか、本当に幸せになれる恋をしてくれたらいいな。
そう思った。
━━━━━━━━━━━
そして――
一時間目。
「じゃあ、この問題。月城」
「はい!」
先生に指名され、れあは黒板の前へ。
問題を解き終えると、
「正解」
「よかったぁ〜!」
席へ戻る。
「さすが月城」
「いつもちゃんとしてるよな」
「さすがお嬢様だよね」
周りからそんな声が聞こえてきて、れあは少し照れながら笑った。
「えへへ……」
そんなれあの学校生活は、今日もいつも通りだった。
――ただ。
この学校には、誰もが知っている有名な男子がいる。
黒崎蓮翔。
代々続く名家・黒崎家の御曹司でもあり、
家は超豪邸。
成績も悪くない。
運動もできる。
顔もいい。
そして、とにかくモテる。
廊下を歩けば女子が振り返る。
告白されることだって珍しくない。
だけど本人は、それを特別気にしている様子もない。
いつもクール。
女子に囲まれていても、騒ぐことなく淡々としている。
「黒崎くんって、ほんまモテるよなぁ……」
そんな声が教室のあちこちから聞こえてくる。
麗愛はちらっと黒崎くんを見る。
……確かに。
かっこいい。
でも――
「……なんか、ちょっと怖そう」
そんなことを思った。
すると。
「月城」
突然、声をかけられた。
「ん?」
振り返ると、そこに黒崎くんが立っていた。
「これ、先生から」
そう言って、一枚のプリントを差し出す。
「わぁ、ありがとう!」
「ん」
黒崎くんはそれだけ言って、自分の席へ戻っていった。
麗愛は手元のプリントを見る。
それから、黒崎くんの背中を見る。
もっと冷たい人なんかと思ってた。
いつもクールやし。
女の子にもあんまり愛想ないし。
でも――
「……黒崎くんって、優しいんやな」
小さく呟いた。
もちろん。
それ以上の意味なんて、まだない。
ただのクラスメイト。
それだけだった。
━━━━━━━━━━━━━━
昼休み。
「麗愛〜 お昼食べよ!」
「うん!」
凛空と一緒にお弁当を広げる。
「そういえば昨日買った漫画さ!」
「えっ、あの続き!?」
「そう!もうね、めっちゃキュンキュンした!」
「いいなぁ〜!れあも読みたい!」
「麗愛、ほんと好きだよね(笑)」
「だって、恋って素敵やもん!」
「はいはい(笑)」
二人で笑う。
まだ、麗愛は恋をしたことがない。
だからこそ――
いつか、自分にも。
漫画みたいな恋ができたらいいな。
そんなことを、ぼんやり考えていた。
━━━━━━━━━━━━━━
放課後。
「じゃあ、また明日ね!」
「また明日〜!」
凛空と別れる。
麗愛は一人になると、周囲を確認する。
そして――
いつもの場所へ向かった。
━━━━━━━━━━━━━━
制服を脱ぐ。
黒髪をまとめる。
金色のウィッグ。
淡い水色のカラコン。
つけまつげ。
そして――
白とシルバーとピンクの特攻服。
鏡の前に立つ。
そこに映っているのは、
昼間の優等生ではない。
月華嬢の総長。
月城麗愛。
「よしっ」
今日も行こっか。
仲間のところへ。
聖月学園。
朝の校門には、今日もたくさんの生徒が集まっていた。
「麗愛、おはよー!」
後ろから聞き慣れた声がして、振り返る。
「凛空、おはよ〜!」
蝶乃りあ。
麗愛、大切な友達。
今日も綺麗に髪を巻いていて、朝からすごく可愛い。
「昨日さ、彼氏から連絡きた?」
「んー……きたけど、たぶん今日の約束もなくなると思う(笑)」
「え、また?」
「うん。前も急に予定あるとか言われてキャンセルされたし」
凛空は慣れたように笑う。
でも、その笑顔を見ていると、れあは少し心配になる。
「凛空はその人のどこが好きなん?」
「……分かんない(笑)」
「え?」
「嫌なところいっぱいあるし、もうやめたほうがいいって自分でも思うんだけどさ」
凛空は少しだけ視線を落とした。
「離れようとすると、なんか無理なんだよね」
「……無理してない?」
「してるかも(笑)」
「もう……」
麗愛は小さくため息をつく。
恋って、漫画の中ではもっと簡単なのに。
好きな人と目が合って。
少しずつ距離が近くなって。
最後にはちゃんと想いが通じる。
麗愛はは、そんな恋がいい。
「恋って、そんな簡単にやめられないんだよね」
「……そっかぁ」
麗愛には、まだよく分からない。
でも――
凛空がいつか、本当に幸せになれる恋をしてくれたらいいな。
そう思った。
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そして――
一時間目。
「じゃあ、この問題。月城」
「はい!」
先生に指名され、れあは黒板の前へ。
問題を解き終えると、
「正解」
「よかったぁ〜!」
席へ戻る。
「さすが月城」
「いつもちゃんとしてるよな」
「さすがお嬢様だよね」
周りからそんな声が聞こえてきて、れあは少し照れながら笑った。
「えへへ……」
そんなれあの学校生活は、今日もいつも通りだった。
――ただ。
この学校には、誰もが知っている有名な男子がいる。
黒崎蓮翔。
代々続く名家・黒崎家の御曹司でもあり、
家は超豪邸。
成績も悪くない。
運動もできる。
顔もいい。
そして、とにかくモテる。
廊下を歩けば女子が振り返る。
告白されることだって珍しくない。
だけど本人は、それを特別気にしている様子もない。
いつもクール。
女子に囲まれていても、騒ぐことなく淡々としている。
「黒崎くんって、ほんまモテるよなぁ……」
そんな声が教室のあちこちから聞こえてくる。
麗愛はちらっと黒崎くんを見る。
……確かに。
かっこいい。
でも――
「……なんか、ちょっと怖そう」
そんなことを思った。
すると。
「月城」
突然、声をかけられた。
「ん?」
振り返ると、そこに黒崎くんが立っていた。
「これ、先生から」
そう言って、一枚のプリントを差し出す。
「わぁ、ありがとう!」
「ん」
黒崎くんはそれだけ言って、自分の席へ戻っていった。
麗愛は手元のプリントを見る。
それから、黒崎くんの背中を見る。
もっと冷たい人なんかと思ってた。
いつもクールやし。
女の子にもあんまり愛想ないし。
でも――
「……黒崎くんって、優しいんやな」
小さく呟いた。
もちろん。
それ以上の意味なんて、まだない。
ただのクラスメイト。
それだけだった。
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昼休み。
「麗愛〜 お昼食べよ!」
「うん!」
凛空と一緒にお弁当を広げる。
「そういえば昨日買った漫画さ!」
「えっ、あの続き!?」
「そう!もうね、めっちゃキュンキュンした!」
「いいなぁ〜!れあも読みたい!」
「麗愛、ほんと好きだよね(笑)」
「だって、恋って素敵やもん!」
「はいはい(笑)」
二人で笑う。
まだ、麗愛は恋をしたことがない。
だからこそ――
いつか、自分にも。
漫画みたいな恋ができたらいいな。
そんなことを、ぼんやり考えていた。
━━━━━━━━━━━━━━
放課後。
「じゃあ、また明日ね!」
「また明日〜!」
凛空と別れる。
麗愛は一人になると、周囲を確認する。
そして――
いつもの場所へ向かった。
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制服を脱ぐ。
黒髪をまとめる。
金色のウィッグ。
淡い水色のカラコン。
つけまつげ。
そして――
白とシルバーとピンクの特攻服。
鏡の前に立つ。
そこに映っているのは、
昼間の優等生ではない。
月華嬢の総長。
月城麗愛。
「よしっ」
今日も行こっか。
仲間のところへ。
