8月中旬。
夏休み明けのフォトコンクール提出に向けた作業日で、久しぶりに部室に集まった写真部のメンバーたち。
「彩羽ちゃん、このレンズのフィルター使ってみる? 光の輪郭が柔らかくなるから、彩羽ちゃんの透明感のある作風にすごく合うと思うんだけど。」
「あ、はい…ありがとうございます、黒羽先輩。」
「もう、敬語じゃなくていいのに。……あ、ちょっと待って。髪に小さな糸くずついてる。」
ごく自然な動作で彩羽の柔らかい髪に触れ、指先で優しく払うと、そのまま愛おしそうに彩羽の頬を親指で優しく撫でる律。
そのあまりにも甘く、周囲の視線を完全にシャットアウトした二人の光景を、部室の隅で冷やし中華の器を抱えながら見ていた先輩の姫華が、盛大なため息をついた。
「ねえ律くん。ダダ漏れ。っていうか、溢れすぎて部室が砂糖を吐きそうなほどの甘気で充満してるんだけど。」
「え?」


