8月上旬。
律にとって高校生活最後となる、特別でどこか切ない夏休み。
眩しい真夏の太陽が照りつける屋外とは対照的に、館内の照明が落とされ、静寂と青い光が満ちる水族館。
大水槽の前に並んだ二人の頭上を、大きなエイやエサメ。
色とりどりの熱帯魚たちがゆっくりと泳ぎ去っていく。
普段の見慣れた制服姿とは違う、涼しげで大人っぽい薄水色のワンピースに身を包んだ彩羽。
「彩羽ちゃん、こっち。手が冷たくなってる。」
その小さく華奢な手を、律はごく自然な動作で、けれど二度と離さないと言わんばかりの強い力で包み込んだ。
指と指を深く交差させる''恋人繋ぎ''
「く、黒羽先輩……! 人に見られたら…っ。」
「いいじゃん、校外なんだし。それに…今日の彩羽ちゃん、可愛すぎて他の奴に見せたくないレベルなんだけど。俺だけのものだって周りに見せつけておかないと、心配で落ち着かないんだよ。」


