『黒羽先輩、昔は遊んでたって有名だし』
『暇つぶしのキープなんじゃない?』
誰にでも甘い言葉をかけられる、完璧で魅力的な律。
自分と出会う前に、いろいろな女の子と付き合っては別れていたという律の過去。
(私にこうやって優しくしてくれるのも…ただの気まぐれなのかな。私が重荷になったら、黒羽先輩も嫌気がさして離れていっちゃうのかな。)
膨らみ続ける不安の風船は、すでに限界を迎えていた。
彩羽は視線を床に落としたまま、震える声を振り絞って小さく口を開いた。
「黒羽先輩……。私と付き合っているせいで、校内で嫌な噂が立っていませんか? …私みたいな地味な人間と一緒にいるより、私と…離れた方が、黒羽先輩のためなんじゃないでしょうか。」


