放課後、いつものように静まり返った写真部の部室。
暗室をセーフランプの赤い光が二人を優しく照らす中、律がいつも通り嬉しそうに彩羽の頭を撫でようと長い指先を伸ばしてきた。
「白石、お疲れ様。……ん? どうしたの、ちょっと顔色悪くない? 何かあったなら、俺に話してほしいな。」
しかし、律の手が触れる直前、彩羽は無意識に身体を小さく強ばらせ、そっと一歩後ろへ引いてその手を避けてしまった。空を切った律の手が、ピタリと途中で止まる。
「……あ、すみません。なんでもないです…。ちょっと、明日の授業の課題のことで考え事をしていて。」
「本当に……? 最近、俺のこと避けてない?」
暗がりの中で、心配そうに自分の顔を覗き込んでくる律の綺麗な瞳。
その美しさと優しさに触れるたび、彩羽の頭の中にはクラスメイトたちが嘲笑っていた言葉が毒のように蘇ってくる。


