7月上旬。
梅雨が明け、本格的な夏が始まろうとしていた。
校内で知らぬ者のいない有名人・黒羽律と、大人しく目立たなかった下級生の白石彩羽が付き合い始めたという噂は、あっという間に校内中へと広まった。
「ねえ、見た? あの写真部の2年生。あの子が黒羽先輩の新しい彼女だって。」
「嘘でしょ……? 黒羽先輩って昔、女の子をとっかえひかえ遊んでたって有名じゃない?」
「どうせあんな地味な子、暇つぶしのキープでしょ。1ヶ月も持たずにすぐ捨てられるよ。」
登校中、廊下、手洗い場。どこを歩いていても、ひそひそと囁かれる心ない陰口が彩羽の耳に刺さる。
もともとクラスに馴染めず一人で静かに過ごしていた彩羽の周りからは、その噂を境にさらに人が離れ、クラス内での孤立は深まる一方だった。
やがて、悪意は言葉だけに留まらなくなった。


