6月上旬。
梅雨入り前の夕暮れ時。
夕陽が沈み、紺色と茜色の美しいグラデーションが広がる学校の屋上に、撮影を終えた律と彩羽の姿があった。
湿気を含んだ生ぬるい風が、二人の髪を静かに揺らしている。
「……黒羽先輩。」
彩羽が意を決して小さく声をかけると、カメラの手入れをしていた律が振り向いた。
「なに? 白石。」
「……この前、見ちゃいました。1年生の女の子から告白されてるところ。」
律は一瞬目を見開いた後、照れくさそうに苦笑いを浮かべた。
「見られてたか……ダサいところ見られたな。」
「どうして……断ったんですか? 先輩なら、誰とでも付き合えたのに。」
彩羽の真っ直ぐな問いに、律は手元からカメラを離し、ゆっくりと距離を詰めてきた。


