軽薄な笑顔を振りまくこともなければ、新しい彼女を作る気配すらない。
ただ静かに写真部の部長としての責務を果たし、放課後は一人黙々と自分のカメラと向き合っていた。
そんな律の劇的な変化を、彩羽は複雑な思いと戸惑いを込めて遠くから見つめていた。
(先輩は、変わった…? ううん、きっと私を遠ざけるために、ちゃんとした先輩を演じているだけ…。)
一度自分の中に築き上げてしまった分厚い防波堤は、そう簡単に崩せるものではなかった。
律が''遊び人''であることを前提にして距離を置いてきたからこそ、今の真摯で隙のない律の姿に、彩羽はどう接していいのか分からず戸惑いを隠せずにいた。
律もまた、彩羽の纏う強い警戒心を感じ取っていた。
だからこそ決して焦らず、技術指導の際も境界線を踏み越えないよう慎重に距離を保ちながら、けれど誤魔化しのない真っ直ぐな瞳で彩羽と接し続けたのだった。


